2024年10月23日水曜日

鰹節とは何か。発酵食品。製造工程。サバ、イワシ、マグロ、サケなどの雑節。踊る理由。

鰹節って何かな。

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 鰹節って何かって?あら、知らないの?まあ、しょうがないわね。教えてあげるから、よく聞いて。

鰹節は日本の伝統的な食材で、カツオの身をボイルして水分を抜き、燻製にして作られるの。鰹節には「荒節」と「本枯節」の2種類があって、荒節はカビを付けずに熟成させたもの、本枯節はカビを付けてさらに熟成させたものよ。そして、私たちが普段見る薄い削り節は、この鰹節を削ったもの。削り節にも色々な種類があって、料理によって使い分けるのよ。

鰹節は、その製造工程や削り方によって、いろんな種類があるの。例えば、鰹節は大きく分けて「荒節」と「本枯節」に分類されるわ。荒節は、カツオの頭と内臓を取り除いてボイルし、燻製にしたもの。本枯節は、荒節をさらにカビ付けして熟成させたものよ。そして、鰹節を削ったものが「削り節」って呼ばれるの。削り節は、だしを取るのに使われたり、料理のトッピングとして使われたりするのよ。鰹節は、その豊富な栄養素と独特の風味で、日本料理には欠かせない存在なの。

ふーむ。カビ付けということは、本枯節は発酵食品なの?

本枯節は、荒節にカビを付けて発酵させたものよ。このカビ付けが発酵のプロセスになっていて、鰹節の風味や旨味を増すの。カビ付けにはEurotium herbariorumという良性のカビを使って、鰹節の表面に繁殖させるの。このカビの働きで、鰹節はたんぱく質が分解されて旨味成分が増えたり、脂質が分解されて上品で透き通っただしが取れるようになるの。

発酵食品っていうのは、微生物が食品に良い効果をもたらす変化を起こすものを言うの。だから、本枯節はカビによって良い効果が起きているから、発酵食品と呼べるのよ。荒節は発酵させないから、発酵食品ではないってわけ。発酵と腐敗は似ているけど、発酵は身体に良い変化を、腐敗は悪影響をもたらすの。だから、本枯節は発酵食品で、健康にも良いのよ。

そうなんだね。じゃあその菌は、体でどんな働きをするのか詳しく教えてほしい。

Eurotium herbariorumは、本枯節に使われる良性のカビで、食品の発酵に重要な役割を果たしているのよ。このカビは、鰹節の表面に繁殖して、鰹節の水分を吸収することで、保存性を高める効果があるの。つまり、鰹節が腐りにくくなって、長期間保存できるようになるわけ。

でも、それだけじゃないのよ。このカビは、鰹節内部のたんぱく質を分解してアミノ酸に変える酵素を生産するの。これによって、鰹節の旨味成分が増えて、より美味しくなるのよ。さらに、油脂成分を分解することで、油が浮かない上品なだしが取れるようになるの。これが、本枯節が高級品とされる理由の一つなのよ。

このカビの働きは、食品の機能性にも影響を与えるわ。例えば、発酵・乾燥過程で熟成風味が発現し、血圧上昇抑制効果や抗酸化活性が認められることもあるの。つまり、健康に良い影響をもたらす可能性があるってこと。さらに、筋肉で代謝される分岐鎖アミノ酸の増加が認められることもあって、スポーツ栄養の分野にも貢献できるかもしれないわ。

燻製にしてカビ付けしたカツオを削るんだよね。そこの工程を具体的に詳しく教えてほしい。

燻製にしてカビ付けしたカツオを削る工程、それが知りたいのね。まあ、興味を持つのも無理はないわ。鰹節の製造過程は、日本の伝統的な食文化を支える重要な技術だもの。じゃあ、ちょっとだけ特別に教えてあげる。でも、ちゃんと覚えておいてよね!

まず、燻製にする前に、カツオはいくつかの工程を経て荒節になるの。水揚げされたカツオは解凍され、生切りされて、煮熟されるのよ。その後、骨を取り除いて、焙乾(ばいかん)される。これで荒節が完成するわけ。でも、これだけじゃまだ鰹節とは言えないの。ここからが本当の技術の見せ所なのよ。

荒節ができたら、次はカビ付けの工程に入るわ。カビ付けっていうのは、鰹節に特定のカビを付けて発酵させることね。このカビが鰹節の旨味を引き出す大事な役割を果たしているの。カビ付けされた鰹節は、室内で一定の温度と湿度を保ちながら熟成されるの。そして、天日干しをして水分を抜いていく。このカビ付けと天日干しを何度も繰り返すことで、鰹節は徐々に硬くなっていくのよ。

最後に、本枯節と呼ばれる段階になると、節は非常に硬くなっていて、削るのも一苦労。でも、この硬さが鰹節の良質なだしを引き出す秘訣なの。削り節は、この本枯節を薄く削ったもので、料理に使われるのよ。削り節は、だしを取るのに最適で、日本料理には欠かせない存在なの。

ふふん、これで鰹節の製造工程の一端を知ることができたわね。でも、これだけじゃ全てを語り尽くせないわ。鰹節作りは、職人の手仕事と経験が生きる芸術なのよ。

へー。すごいね、いつごろから鰹節は作られ始めたのかな。

鰹節は、日本の食文化に深く根ざした食材よ。その歴史は古く、奈良時代にまで遡るの。日本最古の歴史書である『古事記』に登場する「堅魚(カタウオ)」が鰹節の原型とされているわ。堅魚はカツオを素干しにしたもので、3世紀中頃にはすでに作られていたとされているのよ。そして、煮堅魚は煮てから干したもので、これらは調味料として使われてきたの。

室町時代に入ると、干しカツオや煮干しカツオに「焙乾」という技術が導入され、現在の鰹節に近いものが作られるようになったの。江戸時代には、鰹節が広く世間で名声を得たのは、紀州の焙乾小屋が改良されて鰹節が進歩を始めてからよ。大坂堺港の大商人や、京都の上流家庭で煮物・汁物料理が盛んになるにつれ、旨味を付加するために鰹節がだしとして用いられるようになったの。

さらに、江戸時代には紀州印南の漁師・甚太郎がカツオの漁法と熊野節の製法を土佐国清水浦に伝え、土佐藩は鰹節を藩の貿易品にしようと考えたの。甚太郎は焙乾(燻乾)の創始者でもあり、改良土佐節と呼ばれる鰹節を生み出したのよ。この製法は秘伝とされ、長く他国へは公開されなかったわ。しかし、薩摩藩は土佐節の改良に関わった紀州印南漁民のひとりを招くことに成功し、その秘法を入手。これによって、改良土佐節に次ぐ優良節「薩摩節」が天下に知られるようになったの。

明治時代に入ると、伊豆節が目覚しい発展を遂げ、土佐節・薩摩節・伊豆節が三大名産品と称されるようになり、明治30年頃には、土佐節と伊豆節の長所を取り入れた「本枯節」である「焼津節」が登場したの。以後、鰹節業界の本流となり現在に至っているわ。

ロマンがあるね。少し思うんだけど、カツオ以外でこの製法を使わないのかな?

日本ではね、カツオだけじゃなくて、他の魚でも似たような製法で節を作っているのよ。サバやマグロ、イワシなど、いろんな魚で作られている節を「雑節」と呼んでいるわ。それぞれに独特の風味があって、地域によってはカツオ節よりも人気があるのよ。

例えば、サバ節はね、甘みとコクがあって、うどんのだしに使われたりするの。それから、宗田鰹節っていうのもあって、これは少し渋みがあるけど、そばのだしに使うと美味しいのよ。イワシ節は、ちょっと苦味があるけど、味噌汁や煮物に使うとしっかりした旨味が出るの。マグロ節はね、血合いを抜いたものを使って、上品な料理に合うのよ。さけ節や鶏節なんていうのもあって、それぞれ特有の味があるのよ。

ああ、あるんだね。そうだよね。あまり見かけないから。

あるんだよ、雑節っていうのがね。カツオだけじゃなくて、サバやイワシ、マグロなんかでも作るの。でも、そういうのはあまり目立たないかもしれないわね。日本の食文化って、地域によっていろんな特色があるから、その地域の人にとっては身近なものでも、他の場所では珍しいってこともあるのよ。

雑節の産地はね、日本各地にあるの。例えば、サバ節は静岡や鹿児島で有名で、ウルメ節は熊本県の牛深が特に知られているわ。牛深は、日本で一番の生産量を誇る雑節の産地なのよ。他にも、愛媛や静岡でもウルメ節が作られていたけど、時代とともに水揚げ量が減っていって、今は牛深が中心になっているの。

分かった。ありがとう。

ところで、鰹節ってなんで踊るの?

鰹節が踊る理由、知りたいの?ふーん、どうしても知りたいわけ?まあ、いいわ。教えてあげる。でも、ちゃんと聞いてね。

鰹節が踊るのは、熱い食べ物の上に乗せたときに起こる現象よ。熱い食べ物から出る湯気が鰹節に当たると、鰹節は水分を吸収して伸びるの。でも、その水分が蒸発すると、今度は縮むのよ。この伸びたり縮んだりが繰り返されるから、鰹節は踊っているように見えるの。なんだかロマンチックでしょ?

でもね、それだけじゃないの。鰹節が踊るには「2つの原因」があるって言われてるの。一つは、湯気の水分を吸収したり発散したりすることで、鰹節自身が伸びたり縮んだりすること。もう一つは、湯気と熱が鰹節に当たると、水分が吸収されてその部分が伸びることよ。でも、鰹節の形状は複雑で、熱だけが加わって、いったん吸収された水分が蒸発して出て行くという現象もあるの。だから、鰹節は湯気の上昇気流によってユラユラとたなびき、自分自身も湯気を吸ったり吐いたりしながら、クネクネと伸び縮みしているのよ。これが踊りの正体なの。

鰹節の形状がこの現象にどう関係しているのか、詳しく教えてほしい。

鰹節の形状が均一じゃないから、湯気と熱が当たる部分によって、伸び縮みの度合いが異なるのよ。だから、鰹節は不規則に動いて、踊っているように見えるわけ。

さらに、鰹節の「幅」と「厚み」も、踊りやすさに大きく影響するの。研究によると、最適な幅と筋繊維に沿って薄く削られた鰹節が、より踊りやすいとされているわ。だから、鰹節を薄く削ることで、より多くの湯気を吸収しやすくなり、踊りやすくなるのよ。

なるほどー。じゃあ湯気がある限りカツオ節は踊り続けるんだね。あの動きは本当に生きているみたいだ。

そうよ、湯気がある限りカツオ節は踊り続けるの。生きているわけじゃないからね。ただの物理現象よ。でも、そんなことも知らないなんて、ちょっと驚きだわ。まあ、あなたのような素朴な疑問を持つ人がいるから、私も教えることができて楽しいけどね。


ありがとう、素朴な疑問だけど、分かることができて嬉しいよ。

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「魚をくわえたどら猫。」




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