では、前回の続きで、
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「ボツリヌス菌による食中毒は、缶詰やホームメイドの保存食から発生することがあるわ。潜伏期間は6時間から10日で、嘔吐や腹痛、下痢などの消化器症状が出るの。重症化すると、呼吸困難に至ることもあるから、特に注意が必要よ。」
ということだったけど、ボツリヌス菌について詳しく教えてほしい。
ボツリヌス菌って、聞いたことある?これはClostridium botulinumという名前の細菌で、偏性嫌気性グラム陽性桿菌なの。つまりね、酸素が少ない環境を好む細菌ってことよ。土壌や湖沼に広く分布していて、芽胞という形で存在するの。芽胞っていうのは、細菌が厳しい環境に耐えるために作る、超強固な保護カプセルみたいなものね。だから、熱や乾燥、消毒薬にもめっちゃ強いの。
で、このボツリヌス菌が作る毒素がボツリヌス毒素。これがまた強烈で、神経毒素の一種なのよ。アセチルコリンの放出を抑制して、筋肉への神経伝達をブロックするから、麻痺を引き起こすの。人間でボツリヌス症を引き起こす毒素は、主にA型、B型、E型、まれにF型があるわ。日本では、A型、B型、E型毒素産生性のClostridium botulinumや、E型毒素産生性のClostridium butyricumによる感染事例が報告されているの。
ボツリヌス症にはいくつかの型があって、食餌性ボツリヌス、乳児ボツリヌス症、創傷ボツリヌス症、成人腸管定着ボツリヌス症があるの。食餌性ボツリヌスは、食品内に混入したボツリヌス菌芽胞が嫌気状態で発芽、増殖し、毒素を作り出すことで発症するの。日本では、真空パック詰食品や缶詰、瓶詰めが原因食品となった事例があるわ。特に、辛子レンコンやハヤシライスの具材、あずきばっとうなどの真空パック詰食品が有名ね。
予防と治療については、ボツリヌス菌は芽胞となって高温に耐えるけど、ボツリヌス毒素自体は加熱することで不活化するの。A, B型菌を不活化させるには100℃で6時間、芽胞で120℃で4分間の加熱が必要だけど、ボツリヌス毒素自体は100℃で1-2分の加熱で失活されるのよ。だから、食中毒を防ぐには、食べる直前に食品を加熱することが効果的なの。
でもね、もし中毒症状が出たら、抗毒素が必要になるわ。抗毒素はウマ血清が使われることが多いの。ただし、乳児ボツリヌス症では致死率が低いから、一般的には使われないの。ボツリヌス症に対する抗毒素の投与は発症から24時間以内が望ましいけど、24時間以上経過しても効果があることが報告されているわ。
ちょっと怖い話になっちゃったかもしれないけど、ちゃんとした知識があれば予防できるから大丈夫。食品の取り扱いに気をつけて、清潔にして、適切な温度で保存することが大事なのよ。それじゃあ、健康に気をつけてね!
缶詰や真空パックに混入する過程の例を具体的にいくつか教えてほしい。
缶詰や真空パックにボツリヌス菌が混入する過程、気になるわよね。ちょっとだけ教えてあげる。まず、ボツリヌス菌は土壌や水中に自然に存在しているの。だから、食品がこれらの環境に触れたときに、菌が混入する可能性があるのよ。特に、野菜や果物、魚介類など、土壌や水に直接触れる食品は注意が必要ね。